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複雑な出会い、複雑な珈琲。(嬉野珈琲店Classic)

人間、生きていると、思いがけないことがあるもんで。

いや、私もね、

まさか自分で珈琲の通販をやるなんてこの年になるまで思ってもみなかったわけでございますよ。

だって、サラリーマンでございますからね、それもあい変わらずの平社員でございますから。

そんなものは夢にも思わない。

ところが「ひらあやまり」という本を書いたのがキッカケで、その気もないのに、珈琲会の重鎮に引き合わせてやろうという超積極的な人が登場しましてね。

「嬉野さん珈琲の味を極めませんか?珈琲界の重鎮に合わせる段取りつけてあります」

と藪から棒に言ってくるわけですよ。

そもそも「味を極める」気なんか全くなかったもんですから、私も「面倒くさいなぁ」と、ずいぶん難色を示しましたが、

せっかくだったので重鎮に会ったところ、この重鎮が思いの外の腰の軽さで、付き合い易くてね、おまけに珈琲への愛も深く、

極め付けは、めっぽう美味い珈琲を提供してくれたことでしたね。

この重鎮が豆を吟味して、焙煎も綿密にやってくれて抜群に美味い珈琲が出来ちゃって、

重鎮がこれを気軽に飲めるドリップバッグに封入して「うれしーの珈琲」という銘柄のドリップバッグは出来たのでございます。

最初に、この重鎮が出してくれた珈琲を飲んだときね、

「え?何これ美味い!え?珈琲って、本当はこんな味だったんすか?メッチャ美味い!」

と、私はその味に驚き、珈琲の可能性に感銘を覚えたのであります。

こんな重鎮に私好みの味の珈琲を作ってもらえるなんて、これは反対に考えたら、なかなかないことでしたよね。

これは、面倒くさがりの私の気持ちを無視してまで、私を重鎮に引き合わせてしまうような強力な男が私に強引に重鎮に出会うキッカケをくれなければ、珈琲の通販も、うれしーの珈琲も、そもそもなかった話だったと思います。

人生は、そういう人との出会いのありがたさでありますね。

ちょうどそのころ、これもさる人に熱心に勧められて始めていたインスタがそろそろ1年を経過して、フォローしてくれる人も増え、熱心にコメントをくれる人も出てきたころでした。

あるとき誰かが「うれしーの珈琲」が飲みたいですとコメントを寄せてくれ、そしたら「私も飲みたい」と、飲みたい人が意外にたくさんいることがインスタのコメント数で知れてきて、

「通販したら買います?」と私が問いかけましたら「買います」というコメントがズラズラズラっと並んで返ってきたわけです。

「あら?これはみなさん、本気なのかしら?」と私も腰をあげまして、私の若い友人のT木くんに、

「珈琲の通販サイトって、できないもんかね~」

と相談したら。

「出来ると思いますよ」

と、あっさり引き受けてくれ。

ここ「嬉野珈琲店」が、珈琲の通販サイトとして立ち上がったわけであります。

ですが、おかしなことに、揃えた珈琲が500近くあったというのに、予想外に発売日の1時間たらずで完売してしまい、あとは売るものがなくなった状態のまま、こうして年を越したのでございます。

人生いろんな事がございますが(^^)売るものがない通販サイトであろうと、なんであろうと、身の回りが盛況なのは、これはもう本当にありがたい。

こればかりは、みなさんあってのことですし、珈琲のリピーターが多いのは、そもそも「うれしーの珈琲」が美味しいということなんだと思います。

それでも、珈琲は本当はこんなに美味しいのだという認識は、まだまだ一般的ではないように思える時代です。

苦いとか酸味があるとかだけでは語れないのです珈琲の味は。そんな単純な味じゃなかったんです珈琲の味は。もっと複雑な味だったのです。

その本来の味が市民権を得ていない以上、私みたいな者が珈琲の通販をすることにも意味はあるなと、あいかわらず私は思うところ大なのであります。

今年は、また、何度か珈琲の通販をやって参ろうと思いますので、どうぞみなさん、その日を楽しみにお待ちいただきたいと思います。

そしてここ「嬉野珈琲店」を本年もよろしくお引き立ていただきますよう、願いあげるのでございます。

店主敬白

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こちらは旧・嬉野珈琲店に2018年1月1日に掲載されたコラムの「再放送」です。
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このお賽銭箱にね"チャリンチャリン鳴るようなそんな不浄なものは喜んで捨てさせていただきます"と望まれる方も稀におられるかもしれない、そんな方はここに不浄なものを日々放ってね功徳を積んでいただきたい。いや、押さなくていいのよ。でも、押すな!とも言いませんよ。止めませんよ!

四国でクリームスキ食ったろ!
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嬉野雅道

『水曜どうでしょう』カメラ担当ディレクター(HTB 北海道テレビ放送)。うれしーとも呼ばれています。noteには、毎日「言葉の切れはし」を置いていくことにします。著書に『ひらあやまり』『ぬかよろこび』(KADOKAWA)、共著に『腹を割って話した』(イースト・プレス)など。

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嬉野珈琲店では、 ​ 『水曜どうでしょう』カメラ担当ディレクター「うれしー」こと嬉野雅道の コラム、エッセイ、旅日記、対談録など、 ふつうなのにほかにはない言葉を「読みもの」としてお届けします。 ​ また、オリジナル珈琲やグッズの窓口として、 仔鹿と言われる嬉野さんのフ...
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